40代転職の現実と成功率|データで見る市場動向2025

転職

「40代での転職は厳しい」「もう遅い」——そんな声を耳にすることも多いかもしれません。しかし、2024年から2025年にかけての転職市場データを詳しく見ていくと、40代の転職を巡る状況は大きく変化していることがわかります。実際、40代の転職率は高水準を維持し、転職者数も増加傾向にあります。本記事では、最新の統計データをもとに、40代転職市場のリアルな現実と成功率、そして2025年以降の市場動向について徹底解説します。転職を検討している40代の方、また将来的なキャリアチェンジを考えている方にとって、客観的なデータに基づいた判断材料を提供いたします。

40代転職市場の最新データ(2024-2025年)

2024年の転職率は7.2%で高水準を維持

マイナビが発表した「転職動向調査2025年版(2024年実績)」によると、2024年の正社員の転職率は7.2%という結果が出ています。この数値は前年の7.5%から0.3ポイント減少したものの、新型コロナウイルス発生前の2019年と比較すると依然として高い水準を維持していることが明らかになりました。

特に注目すべきは、40代から50代の転職率が増加傾向にあるという点です。かつて「転職は35歳まで」という限界説が一般的でしたが、現在ではその常識は完全に覆されています。2024年のデータを見ると、40~44歳の転職率は7.1%、45~54歳でも6.0~6.1%という高い数値を記録しています。これは、ミドル世代の転職が決して特別なことではなく、むしろ一般的なキャリア選択肢の一つとして定着していることを示しています。

この背景には、企業側の採用方針の変化があります。従来は若手の育成に重点を置いていた企業も、即戦力となる経験豊富な人材の価値を再認識し、積極的に40代の採用を進めるようになっています。また、終身雇用制度の崩壊や働き方の多様化により、40代でのキャリアチェンジに対する社会的な受容度も高まっています。

転職者数は過去最高の331万人

総務省統計局が発表した労働力調査によると、2024年の転職者数は約331万人に達し、前年比3万人の増加となりました。この数値は、新型コロナウイルスの影響で一時的に減少した2020年、2021年を経て、2022年以降3年連続で増加しており、転職市場全体の活性化を示す重要な指標となっています。

特筆すべきは、45~54歳の転職者数の伸びです。2012年には40万人だった同年代の転職者数が、2022年には54万人にまで増加しています。これは約35%の増加率であり、若年層の転職者数の伸び率を上回る勢いです。2024年のデータでもこの傾向は継続しており、ミドル世代の転職がますます一般化していることがわかります。

転職者数の増加には複数の要因が考えられます。第一に、労働市場全体の人手不足です。少子高齢化による労働力人口の減少により、企業は年齢を問わず優秀な人材を確保する必要に迫られています。第二に、定年延長や再雇用制度の普及により、50代、60代でも現役で働くことが一般的になったことで、40代での転職に対する心理的ハードルが下がったことも影響しています。

40代の転職成功率と年齢別実態

年代別・男女別の転職入職率

厚生労働省の「令和5年雇用動向調査」は、40代の転職状況をより詳細に明らかにしています。この調査によると、40~44歳の転職入職率は男性で6.3%、女性で11.4%となっています。女性の転職入職率が男性の約2倍という結果は、ライフステージの変化や働き方の見直しを図る女性が多いことを示唆しています。

45~49歳になると、転職入職率はやや低下し、男性で5.3%、女性で8.9%となります。これは年齢が上がるにつれて、現職での地位や待遇が安定し、転職のリスクを取りにくくなることが一因と考えられます。しかし、それでも一定数の転職者が存在することは、40代後半でも転職の門戸が開かれていることを示しています。

興味深いのは、転職入職率の推移です。2021年から2023年にかけて、40~44歳の男性は5.4%→5.7%→6.3%、女性は8.6%→9.6%→11.4%と、年々増加傾向にあります。この継続的な上昇は、40代転職市場の拡大を裏付ける重要なデータといえるでしょう。

また、転職求人倍率も重要な指標です。パソナが発表した2024年10月版の採用市場データによると、全体の転職求人倍率は1.91倍、特にハイキャリア層(年収700万円以上)では2.56倍という高水準を記録しています。これは、1人の求職者に対して約2~2.5件の求人がある計算となり、特に専門性の高い40代人材にとっては有利な市場環境といえます。

異業種転職の成功率は約40%

マイナビの「転職動向調査2024年版(2023年実績)」によると、40代の転職者のうち約40%が異業種への転職に成功しているという結果が出ています。この数値は、20代の68.7%、30代の約55%と比較すると低いものの、40代でも十分に異業種転職の可能性があることを示しています。

異業種転職の成功例として多いのは、これまでの経験やスキルを活かせる隣接業界への転職です。例えば、製造業からIT業界へのDX推進担当としての転職や、営業職から人材業界のキャリアコンサルタントへの転職などが挙げられます。完全に未経験の業界への転職は難易度が高いものの、自身の強みを再定義し、それを必要とする業界を見つけることで、40代でも新しいフィールドに挑戦できる可能性は十分にあります。

dodaの2024年データでは、40代以上で異業種へ転職した人の割合は56.4%となっています。半数以上が異なる業界にチャレンジしているという事実は、40代の転職において業界の壁が以前ほど高くないことを示しています。重要なのは、年齢ではなく、どのような価値を提供できるかという点です。

40代転職後の年収事情

転職後の平均年収は509.3万円

転職を検討する上で最も気になるのが年収の変化でしょう。マイナビの「転職動向調査2025年版」によると、転職後の平均年収は509.3万円で、転職前と比較して22.0万円の増加という結果が出ています。この約4.3%の年収アップは、転職が必ずしも年収ダウンを意味しないことを示す重要なデータです。

40代の転職における年収事情は、個人のスキルや経験、業界、職種によって大きく異なります。特に、専門性の高いスキルを持つ人材や、マネジメント経験が豊富な人材は、転職によって大幅な年収アップを実現するケースも少なくありません。実際、ハイクラス転職市場では、年収700万円以上のポジションの求人倍率が2.56倍と高く、企業が好条件で優秀な人材を求めていることがわかります。

一方で、現実的な課題も存在します。40代の転職では、前職の年収水準を維持することが難しいケースもあります。特に、大企業から中小企業への転職や、異業種への転職の場合、一時的に年収が下がる可能性も考慮する必要があります。しかし、長期的なキャリア形成やワークライフバランスの改善を重視する場合、短期的な年収の変動よりも、将来的な成長性や働きやすさを優先する判断も重要です。

年収アップを実現した人の割合

転職によって年収が上がった人の割合について、複数の調査データを見ると、40代では約35~45%の人が年収アップを実現しています。これは、半数近くの人が転職によって経済的なメリットを得ていることを意味します。

年収アップを実現した人の特徴として、以下のような共通点が挙げられます。第一に、市場価値の高いスキルを保有していることです。IT・DX関連スキル、語学力、マネジメント能力などは、多くの企業が求めるスキルであり、これらを持つ人材は高待遇での転職が可能です。第二に、業界選択が適切であることです。成長産業や人手不足が深刻な業界では、経験豊富な40代人材に対して好条件を提示する傾向があります。

また、年収交渉のスキルも重要な要素です。40代の転職では、自身の経験や実績を具体的な数値で示し、企業にもたらす価値を明確に伝えることが求められます。転職エージェントを活用して、市場相場を把握した上で適切な年収交渉を行うことも、年収アップの成功率を高める重要な戦略といえるでしょう。

なぜ今、40代ミドル人材の需要が高まっているのか

定年延長と労働力不足の影響

2025年4月からは改正高年齢者雇用安定法により、65歳までの雇用確保が企業の努力義務からさらに強化され、70歳までの就業機会確保が努力義務となります。この法改正により、企業は長期的な人材活用を前提とした採用戦略を見直す必要に迫られています。その結果、40代の採用に対する企業の姿勢が大きく変化しています。

従来、企業が40代の採用に消極的だった理由の一つは、「採用してから定年までの期間が短い」という考え方でした。しかし、定年が延長され、60代、70代でも現役で働くことが一般的になった今、40代で採用しても20~30年間活躍してもらえる計算になります。この認識の変化が、40代採用を積極化させる大きな要因となっています。

さらに、日本の労働市場における深刻な人手不足も、40代需要を押し上げています。少子高齢化により、若年労働力の確保が困難になる中、企業は年齢にこだわらず優秀な人材を確保する必要があります。特に、専門性の高い職種やマネジメント層では、若手の育成を待つ余裕がなく、即戦力となる40代人材への需要が高まっているのです。

専門性と即戦力への期待

40代人材に対する企業の期待は明確です。それは「即戦力」としての活躍です。20年前後のキャリアを積んだ40代は、業界知識、専門スキル、問題解決能力、そしてマネジメント経験など、企業が即座に活用できる多様な能力を持っています。

特に需要が高いのは、以下のような専門性を持つ40代人材です。第一に、DX推進やIT戦略の立案・実行ができる人材です。多くの企業がデジタルトランスフォーメーションを進める中、テクノロジーとビジネスの両方を理解し、組織を変革できる人材は非常に貴重です。第二に、新規事業開発や事業再編の経験を持つ人材です。変化の激しい市場環境において、新たな収益源を創出できる人材への需要は高まっています。

エン・ジャパンが実施した「2026年ミドルの求人動向」調査では、転職コンサルタントの81%が「2026年は35歳以上のミドル人材を対象とした求人が増加する」と回答しています。その理由として、「即戦力人材の獲得」「専門スキルを持つ人材の不足」「管理職候補の確保」などが挙げられており、40代人材の価値が市場で高く評価されていることが明確に示されています。

2025年以降の40代転職市場予測

ミドル求人の増加トレンド

2025年以降の転職市場において、ミドル層向けの求人はさらに増加すると予測されています。前述のエン・ジャパンの調査だけでなく、マイナビの「中途採用状況調査2025年版(2024年実績)」でも、20~40代の採用に積極的という回答が8割を超え、前年に引き続き高水準を維持していることが報告されています。

この背景には、いくつかの構造的要因があります。第一に、団塊世代の完全引退により、管理職層の人材不足が深刻化していることです。企業は経験豊富な40代、50代を積極的に採用し、マネジメント層を補強する必要に迫られています。第二に、事業のグローバル化やデジタル化により、高度な専門性を持つ人材への需要が継続的に高まっていることです。

また、働き方改革やリモートワークの普及により、地方企業が都市部の優秀な40代人材を採用するケースも増えています。勤務地の制約が緩和されたことで、転職市場の地理的な広がりも生まれ、40代にとっての選択肢が拡大しています。

求められるスキルの変化

2025年以降、40代転職市場で求められるスキルも進化しています。従来の業界知識や業務遂行能力に加えて、以下のようなスキルの重要性が高まっています。

第一に、デジタルリテラシーです。AIやデータ分析、クラウドサービスなどの基本的な理解と活用能力は、業種を問わず必須となりつつあります。完全なIT専門家である必要はありませんが、デジタルツールを使いこなし、DXプロジェクトに貢献できる程度のスキルは求められます。

第二に、変化適応力と学習意欲です。40代であっても、新しい知識やスキルを積極的に学び、変化する環境に適応できる柔軟性が重視されます。「これまでのやり方」に固執せず、より良い方法を常に探求する姿勢が、企業から高く評価されます。

第三に、コミュニケーション能力とリーダーシップです。多様な世代や背景を持つメンバーをまとめ、組織を目標に向けて導く能力は、40代人材に特に期待される資質です。特に、Z世代やミレニアル世代との協働が求められる現代において、世代間の橋渡しができる40代のリーダーシップは貴重な資産となります。

まとめ:40代転職は「厳しい」から「チャンス」の時代へ

本記事で見てきたように、2024年から2025年にかけての40代転職市場は、客観的なデータから見ても活発化しており、決して「厳しい」だけの状況ではありません。転職率7.2%、転職者数331万人、そして転職後平均年収22万円増という数字は、40代の転職が現実的な選択肢であることを示しています。

もちろん、20代や30代と比較すれば、求人数や選択肢は限られるという現実もあります。しかし、専門性と経験を武器に、自身の市場価値を正しく理解し、戦略的に転職活動を行えば、40代でも十分に成功の可能性があります。特に、即戦力としての活躍が期待されるハイクラス転職市場では、40代人材への需要は今後も高まり続けるでしょう。

重要なのは、「40代だから」という年齢を理由に転職を諦めるのではなく、市場のニーズを理解し、自身の強みを明確化し、適切な準備をした上で転職活動に臨むことです。2025年は、ミドル求人がさらに増加すると予測されており、40代にとっては「チャンス」の年となる可能性が高いのです。

本シリーズの次回以降の記事では、40代転職を成功させるための具体的な戦略やノウハウについて、さらに詳しく解説していきます。転職を検討されている40代の皆さまにとって、本記事が第一歩となれば幸いです。

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